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万年こたつ

本や漫画の感想がメインの雑記ブログ こたつに籠って本を読んで生きていきたい

【漫画】障害といじめと人と向き合うことと『聲の形/大今良時』紹介&感想

漫画

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映画が最高でした。 

 

その勢いで漫画を全巻購入し貪るように読破。

 

漫画も最高でした。

 

聴覚障害やいじめといった重いテーマを深く掘り下げながらもきれいにまとめた作品です。読んだらもれなく泣く。

 

『このマンガがすごい!』オトコ編第1位、『マンガ大賞2015』第3位、第19回手塚治虫文化賞新生賞受賞作といろんな賞を取ってるのも納得の漫画です。

 

 

 

『聲の形』ってこんな漫画

あらすじ

悪ガキだった小学生:石田将也は退屈を嫌う子供だった。

ある日クラスに転校してきた西宮硝子は先天性の聴覚障害を持つ女の子。ノートを通じてみんなと仲良くなりたいと願う硝子の想いとは裏腹にいじめの標的とされてしまう。

石田はいじめの中心人物だったがある時を境に自分がいじめられる側となってしまい、学生時代の大半を孤独に過ごすことになる。

 

転機は高校3年生の時、身辺整理した石田が最後のけじめとして西宮に会いにいったことから物語は始まる。

新しい友達や昔のクラスメイト、様々な人と交流しながら、孤独と絶望、いじめる側といじめられる側の人間、他人を理解することの難しさや理解しようとすることの大切さといろいろ詰まってます。

 

全7巻。完結済み。

 

映画も泣ける。


映画『聲の形』 ロングPV

 

 

読み切りで泣いた人多数

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この作品を知ったきっかけはTwitterで「今週のマガジンの読み切りがやばい」でした。

 

しかも一人ではなくたくさんの人が呟いてる。気になって帰りにコンビニに寄った結果、半泣き状態でマガジンを購入することに(笑)

 

凄かった。

 

その時の読み切り作品はファンブックに収録されています。しかも読み切りは週刊少年マガジンに載る前に別冊マガジンにも載ったことがあるらしく、その2作品がファンブックに載ってます。

 

 

その後週刊少年マガジンに連載し、2016年の秋に映画化。

 

映画では話のメインとなる映画作りがまるまるなしになってますが、それ以外は概ね原作通りです。

 

聴覚障害とは

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ヒロインの硝子は耳が聞こえません。

 

自分の身の回りにそういう人がいないので意識したことがなかったんですが、聞こえないって大変。

 

横からや後ろから声をかけられても気付くことができません。後ろから車がきてクラクション鳴らされても、どこかで事件・事故があって緊急放送があってもわからない(作中にそんな場面はないですが)

 

作中では先生が「ここテストに出すぞー」って言ったことや板書きされない説明がわからずにいる場面がありました。

 

さらに気付かされたのは「聞こえないということは話せない」ということ。

 

周りの人の言葉がはっきり聞こえないので真似してもちゃんと発音できない。喋った自分の声もはっきりと聞こえないので正しく喋れてるのかもわからないし、自分の声の大きさや抑揚も判断つかない。

 

声は出せても相手に伝わらない。

 

そうなると会話は当然、手話や紙に書いて話すことになります。

 

有川浩の図書館戦争にも聴覚障害の女の子がいたけど、彼女は手話よりもケータイに文字を打ち込むことで他人と意思疎通をしていました。

 

でもそうなると会話がワンテンポ遅れるんですよね。普段ならノータイムで返事できるところがその都度文字に起こして会話する。

 

そうしなきゃならないってわかってても大変だと思います。

 

 

気持ちを伝えることと知ろうとすること

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石田は「あんなことをした自分は罰を受け続けて当然だ」って思いがあって、孤独になったあとは自ら誰かと仲良くなろうとはしてません。

 

周りの人の顔は全てバツ印がついていて、石田が周りに興味がない(心を閉ざしている)ことが表現されてます。

 

それが硝子と再会し、新たな友達もできて徐々に周りの人のバツ印が取れていきます。

 

でもバツ印が取れた(その人のことを認識した)からと言って、相手のことが全部わかるわけではないです。

 

相手が何を思ってるのか、かつてのクラスメイトはあのいじめの事をどう思ってたのか、そして何よりいじめられた硝子本人の気持ちは?

 

登場人物みんないろいろ悩んでます。石田も硝子も、かつてのクラスメイトも硝子の家族もみんな。

 

最終巻で石田が硝子に正直に話す言葉が印象的でした。

 

お前の こえ 聞いてるつもりだったけど 本当に つもりなだけだった

当たり前だよな 話してくれることが全部だなんでありえないのに

それがその人の全てなんだって思い込んで 

わかってたんだそんなこと

なのに お前のわからないところを自分で都合よく解釈してさ

…それが 俺だ

 

この場面の石田のセリフ全部良かった。

 

誰にでもそういうところあると思う。でもそれに正面から向き合うのはなかなかできない。

 

 

タイトルの漢字が「声」じゃなくて「聲」なのは、この漢字が声と手と耳を組み合わせてできてる説があるのと「気持ちを伝える手段は一つじゃない」って意味を込めてだとかなんとか(ウィキペディア参照)

 

巻数も少ないのでとにかくおすすめです。漫画じゃなくて映画でもいいのでもっと色んな人に知ってほしい。

 


映画『聲の形』主題歌PV

 

 

 

各巻の感想

1巻

 小学校時代の過去エピソードが大半の読み切りを長くした1巻。

1人なのに友達の分のおかしを食べながら「おいしーおいしー」って言ってるところがきつい。 

それにしても担任がクズ過ぎるやろ…。

 

2巻

西宮家の家族登場。

いじめてた中心人物が今さら友達になろうとか、家族からしたらたまったもんじゃねーなと思ったり。どの面さげて言ってんねんと。いくら反省したと言っても簡単に許せるわけがないよね。

でも硝子本人が嫌がってないし、「許す=なかったことにする」わけじゃないってことを石田本人が一番わかってるって示せたのが大きい。

永束くんという初めての友達もできて世界が変わり始める。

 

3巻

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いじめの被害にあった佐原さんと、いじめてた側の植野との再会。

植野は石田のこと好きなのバレバレなんですがわからないのは当人だけなのか。いじめられたときの同級生が自分のことをそう想ってるなんて思わんよなあ。

そして硝子の告白シーンがすごくいい。発音できなくても声で伝えようとする硝子がいじらしい。でも硝子への罪の意識がある石田にはそれがわからない。

もどかしいなあ。

 

4巻

 植野がめっちゃ良いキャラしてる。

「あんたは5年前も今も変わらず私と話す気がないのよ!!」

って愛想笑いばかりする硝子の核心をついてる言葉。仲良くやろうとかじゃなくて植野が一番まっすぐ向き合おうとしてるのかも。

そして後半は西宮家の話。先天性風疹っぽいね。母親も苦労してた。苦労クズ夫とその親は最低。

 

5巻

小学校時代の担任が出てきたり、険悪になって石田以外の人らが思ったことをぶつけ合ったりと激動の巻

みんなあの時のことを大なり小なり向き合ってる中で川井がマジで気持ち悪い。ほんとなんなのこいつ。 真柴君は映画では存在感なかったのに尖ってきた。 

そして報いを受けて当然と思う石田と、自分といると不幸になると語る硝子。溜めこむところが似てんのかな。

そしてラストでまさかの展開。別れたときの手話が「またね」じゃなくて「ごめんなさい」っだのがもう…。

 

6巻 

表紙に石田がいない。

この巻は目覚めない石田を除くメンバーにスポットが当たる。

みんな大なり小なり悩んでる。話せば理解し合えることもあると思うけどみんな一人で悩んでる。

永束は普通にいい奴だし、真柴は予想以上に屈折してたけどなんか将来どうなるか気になるし、佐原は登場人物の中で一番成長してるし、植野はもう色んな意味で強いし

ただし川井、おめーはだめだ。

 

「高めろ 自分を 変わり続けろ この先ずっと変わらずに」って名言だと思う。

 

最後文字が縦半分だったり母音だけだったりすごい読みにくかったけどこれが普段の硝子の世界なんだろうなあ、こうやって表現する作者すごい。

 

7巻

 最終巻。映画制作がある分劇場版よりもあとの話もあります。

 

石田の飾らない言葉が胸に来る。

「本当は君に泣いてほしくないけど 泣いて済むなら 泣いてほしい」

「生きるのを手伝ってほしい」

 

最初は周囲の人全員にバツ印がついてたけど、それが剝がれていくところで石田すげえ頑張ったんだなあってなった。実際には身の回りの数人の関係しか変わってなくても見方次第で世界はこうも変わる。

 

一度こじれた関係ともう一度向き合うってのはすごい勇気のいることだよなあ。ラストも未来への道が続いていていい終わり方でした。