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万年こたつ

本や漫画の感想がメインの雑記ブログ こたつに籠って本を読んで生きていきたい

【漫画】音楽は言葉を超える『四月は君の嘘/新川直司』紹介&感想

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8月に短編集が出て、最近映画化もされたので読み直してました。

 

名作は何度読んでも面白い。天才ピアニストを主人公としたボーイミーツガールのお話です。

 

心揺さぶられる演奏の描写は圧巻です。

 

 

 

『四月は君の嘘』ってこんな漫画

あらすじ 

神童とまで言われた天才ピアニスト有馬公正はある時を機にピアノが弾けなくなってしまった。

そんな彼は中学3年の四月に1人のバイオリニストの女の子:宮園かをりに出逢う。譜面に書かれたことを忠実に弾いてきた公正にとって、自分の好きなように曲弾きこなす彼女は眩しくてカラフルな女の子だった。

演奏家としても同級生の女の子としても元気はつらつで我儘な彼女に手を引かれ、公正は再びピアノを弾き始める。

原作もアニメも素晴らし形作品(映画は知らん)

 

 

音楽は言葉を超える

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作中では主人公たちはコンクールで演奏するんですが、彼らは「自分が勝つため」ではなく「誰かに想いを伝えるため」に演奏します。

 

その想いは「好き」であったり「ぶん殴ってやる」だったり「お前を否定してやる」だったり様々です。

 

その想いが演奏に熱を入れます。

 

音を伝えられない漫画で演奏シーンにここまで引き込まれる漫画は初めてです。作中で演奏される曲を聴いたことがなくても臨場感が、登場人物の想いが伝わってきます。 

 

音楽は紙面をも超える。

 

アニメの完成度も高く、実際に演奏してる曲も聴けるのでこちらもおすすめです。

 

 

光と陰のコントラストがすごい

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キャラクターの心情に合わせた背景の描写がうまい。

 

例えば屋上でかをりが公正に伴奏を頼むシーン。

 

自分には無理だ。ピアノが弾けない。と言う公正は校舎の影にいて、演奏はこんなにも自由だと言うかをりは日の当たるところに居ます。

 

そしてピアノを弾くと約束した公正は校舎の影からかをりのいる日の当たるところへ一歩踏み出します。

 

 

主人公たちはまだ中学3年生で多感な時期です。揺れ動く感情を見事に表現してるので引き込まれます。

 

 

本編全11巻+小説+短編集と出てますがとりあえず本編を。

 

2巻まで読めばあとは止まらないはず!

 

 

各巻の感想

1巻

 渡のセリフがかっこいいの多すぎ。そらモテるわ。

中学生して「演奏家」としての生き方を持ってるかをりちゃんがかっこいい。「私がいるじゃん」のシーンの頼もしさ。でもそのあとの涙でどんなに強気でもやっぱり不安いっぱいの女の子なんだなあと。

公正も音が聴こえなくなるという不安があるけど、かをりは自分の不安と真っ向から向き合ってそこが光の中にいるかをりと影にいる公正との違いなんだろな。


四月は君の嘘 単行本第1巻 宮園かをり演奏曲 クロイツェル

 

 

2巻

2巻でこの盛り上がりはすげえ。

ぶっつけ本番で挑んだコンサートは「試合で負けて勝負に勝った」状態に。

伴奏者じゃなくて独奏者な二人の殴り合いの演奏は音が聞こえない漫画でも伝わってくる。

汗の量とか目配せとか緊迫感が凄かった。

ちなみに作中に出て来た「サンサース」はこれ。


四月は君の嘘 単行本2巻 デュオ演奏曲 序奏とロンド・カプリチオーソ

 

 

演奏の盛り上がりだけでなく椿の恋模様や訳ありっぽいかをりちゃんとか気になる要素も増えてきた。

 

 

3巻

 公正といるときだけ感情むき出しで泣く椿に、影でこっそり泣く渡、さらには放置されたピアノに対して泣くかをりと前半はみんな泣きまくり。椿に渡とサブキャラがいい味出してます。

特に椿が最初は「ピアノのやってほしい」って思ってたのにいざ公正が打ち込み始めると「遠くの世界の人」に感じられてぶれまくってるのが切ない。頑張れ。

そして後半はコンクール編。因縁の相手っぽいのが出て来て面白くなってきた。

作中で相座が弾いたのはこれ。手がめっちゃ動く。すげえ。


四月は君の嘘 単行本3巻 相座武士演奏曲 ショパン エチュード10-4

 

 

4巻

 相座は3巻だったけど、相座と井川の公正への対照的な想いが熱い。同年代のピアニストに衝撃を受け、必死に練習して追いかけて、再開したこの大会で想いを音に変えてぶつける。

幼少期のエピソードや必死で演奏してる描写が、音は聞こえなくてもすげえ演奏をしてるのが伝わってくる。

公正はトラウマを克復できるのか?

 

井川絵見が弾いたのはこれです。


四月は君の嘘 単行本4巻 井川絵見演奏曲 ショパン 「木枯らし」

 

 

5巻

  「君のために弾こう」

機械のような演奏をしてきた公正を人間に戻したのはかをりちゃんの言葉でした。

トラウマが発動したときはどうなるんかと思ったけど、そこからの公正の演奏は圧巻。

コンクールは失格だけど大きな一歩踏み出せた公正。でも椿は内心複雑だろうかと思ったり。幼なじみはやっぱり勝てないのか…

 

ちなみに5巻で有馬公正が弾いた曲はこれ。


四月は君の嘘単行本5巻 有馬公生演奏曲 ショパンエチュードop.25-5

 

そして次は再びかをりと公正で演奏することに。でも最後のかをりの言葉が不穏すぎる…。薬めっちゃ飲んでるみたいだしやな未来しか予想できないんですけど。

 

 

6巻

 母親との思い出の詰まった「愛の悲しみ」を演奏することになった公正。トラウマである母親の影だけ見てたから自分のために公正を使ってる人なのかと思ったけど、公正も母親のこと大好きだったんだなあ。母親の喜ぶ顔が見たくて頑張って、でふとしたことで言ったひどいことが最期の言葉になって。そりゃトラウマにもなるわ。

かをりのことをバカにされて感情に身を任せて弾くところが初期からすると想像つかない。

公正の音楽は音が聞こえなくなってからが本番って感じになってきたので次の巻でどうなるか楽しみ。

 

「愛の悲しみ」はこんな曲。


四月は君の嘘 有馬公生演奏曲「愛の悲しみ」ラフマニノフ

 

 

7巻

母親もちゃんと公正のことを考えてた。自分が長く生きられないのがわかっていたから、子供でも一人でも食っていける技能を身に着けさせようと心を鬼にして接してた。

子供の将来を想ってのことだったんだなあ。

公正もこの演奏を通して自分の中の母親とも折り合いをつけて音楽への道を目指せるようになった。

 

公正と再開することで絶好調になった絵見と逆にスランプになった相座。ちょっとしたことで大きく揺らぐのが、こいつら中学生なんだよなあって再確認させてくれる。

椿はようやく自分の気持ちに気づくことができたけど、柏木の言う通り手遅れっぽい…。

 

8巻

 うーん、先輩不憫。

相座の妹という資格が登場も早くも公正に影響を受けていてこれはすぐに落ちそう(笑) 

だんだんとひどくなるかをりの病気の描写。いちご同盟といいラストのセリフと言いもうあかん。読んでて胸が痛い…。

みんなが見まいに来てるときは元気に振る舞ってるけど、公正といるときは弱音をはいたり本気で怒ったりと素をみせていたかをりだけどこれはつらい。

やっと母親の呪縛を払えた公正なのにかをりの姿を母親と重ねてしまってるし公正もきつい。こんな短期間にタブルパンチ喰らったら僕だったら立ち直れん…。

 

9巻

 渡と柏木さんがめっちゃ良い友人。こんだけ理解してくれる友達がいるだけで公正と椿は幸せだと思うんだ。

そして凪にピアノを教えるだけだったのがまさかの二人で連弾をすることに。周りからのプレッシャーで食事も喉を通らず逃げ出したい衝動に駆られる凪。そういや兄貴も出演前に吐いてるっぽい描写あったな。そんな凪をみてプロで活躍する紘子は「チャラになる瞬間がある」と話す。スポーツでも音楽でも「やり続けて良かった」って思えるものがあるってのは素敵なことなんだろうな。羨ましいけど自分だったらそれを得る前のプレッシャーで潰れそう(笑)。

公正も凪もぶん殴って活を入れたい相手に向けて演奏する。公正が聞こえてくるピアノの音に「邪魔だから 消えろ」ってなって覚醒するシーンがかっこよかった。かつてのトラウマを覚醒のスイッチにしちゃったよ。

演奏シーンは圧巻だし感動もんだし、電話の向こうでエアヴァイオリンをするかをりちゃんで泣きそうになった。

 


四月は君の嘘 公生+凪 ピアノ連弾曲「薔薇のアダージオ」

 

 

10巻

 相座武士完全復活。憧れだった公正の背中を追うのをやめ、かつて譜面に籠められた意思に従うことが自分の信じる道と決めた相座の演奏シーンは熱い。お互いを高め合うライバル関係って最高だよな。

そしてついに公正と椿が自分の気持ちにまっすぐ向き合うことに。椿の告白シーンは青春って感じでした。あんなん言われたら意識するに決まってるやん。

ずっと渡に遠慮してた公正もついに自分の気持ちに正直になる。全員前を向いて動き出したって思ったところで衝撃のラスト。

大事な大一番の前にまさかの展開。公正はピアノ弾けるんだろうか?

 


四月は君の嘘 挿入曲:第19話 相座武士演奏曲 ショパン「エチュード ハ短調 作品10 12〈革命のエチュード〉」/ Shigatsu wa Kimi no Uso 19

 

11巻

 最終巻。もうずっと泣きそうになりながら読んでた。

世界がモノクロに見えてた公正だがかをりと出会って世界がキラキラ輝いて見えはじめ、最期はいろんな人と繋がって生まれた音で演奏する。

自分と関わってくれたすべての人、そして病気と闘い手術中のかをりに向けた公正の演奏はカラフルで、でもどこか切なくて。

最後のかをりの手紙でタイトルの意味がようやくわかったので、これを踏まえて読み直すとまた違った感想が持てそう。

名作。アニメも最高だった。

 


四月は君の嘘  挿入曲:最終話 ショパン「バラード第1番 ト短調 作品23」/ Shigatsu wa Kimi no Uso Last play a musical instrument

 

 

 

小説  四月は君の嘘 6人のエチュード

 主要キャラが見たそれぞれの視点で有馬公正について語るサブストーリー集。

本編の補完する形で書かれており面白い。

これに関しては別記事を書いたので感想はそっちで。 

typenitro.hatenablog.com

 

 

Coda

 アニメのBD購入特典の書き下ろし漫画を集めた短編集。

作中の登場人物の運命を変えた公正の初めての講演会の話を中心に絵美のファンクラブの話や2年後の三池くんの話が収録されてます。

三池くんの話が一番良かった。公正の音楽に突き動かされた三池くんが今度は突き動かす側になろうと頑張ってるのがかっこいい。音楽家の魂はこうやって受け継がれていくんだなあって。