万年こたつ

こたつに籠って本を読んで生きていきたい

【小説解説】恋人よりもお金よりも大切なこと『風に舞いあがるビニールシート/森 絵都』

  第135回直木賞受賞作。

 

「DIVE!」「カラフル」以来の森絵都作品。

 

周りには理解されないけど自分のなかで譲れない価値観を持つ6人の物語が納められています。

 

ほっこりしたり、切なくなったりする小説です。表題作の『風に舞い上がるビニルシート』と『犬の散歩』が良かったです。

 

  

本の詳細・あらすじ

風に舞いあがるビニールシート/森 絵都 (文春文庫) 森 絵都

 

才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだり…。自分だけの価値観を守り、お金よりも大切な何かのために懸命に生きる人々を描いた6編。あたたかくて力強い、

第135回直木賞受賞作。

 

 

 

 

 

お金よりも、恋人よりも大切なものはありますか?

6つの短編集が入ったお話なんですが、どの話にも共通するものが主人公全員が「絶対に譲れないもの」を持っている事です。

 

それは自分の仕事だったり、難民を支援する事だったrり、仏像に対する想いだったり。

 

彼等彼女らは自分が、「これだ」って思った仕事ややりたいことのために生きています。

 

たとえ周りの人には理解できないようなこと、

 

例えば「犬の散歩」では主人公の恵利子は殺処分を待つ犬の里親を捜すボランティアをしていますが、里親が見つかるまでの犬の章句費や病院代などは全て自分でまかなっており、そのために夜は水商売をしています。

 

結婚もしているのに昼は犬の世話、夜は水商売で、夫婦の間には子供もいません。こう聞くと「そこまで犬にかけて何になるの」と思う人もでてきます。

 

作中でも客に不振がられ義父にも非難されます。

 

もし僕の周りに同じような人がいたらきっと「なんでそこまでするん?」って思ってしまう。多くの人には理解されない。

 

でも自分のなかでは揺るぎない1つの価値観。それだけ賭けるものがあるってのはすごい素敵で羨ましくもあるよね。

 

じゃあ振り替えって自分はどうなのか。自分のなかには他人に理解されなくても是が非でも優先することがあるのかと。考えても思い付きません。

 

周りと同じように愛すべき家族、恋人のために、お金を稼ぐために仕事をし、プライベートの時間を使うことは間違ってない。

 

でもこれだって思うもののために自分を捧げる人生ってのは羨ましいなあと思うのでした。